屋外含めて4つのステージが設けられ、国内外の計 34 バンドによる競演となった STREETROCK DAY 。 STREETROCK とは一口に言えど、エモ、オールドスクール~ニュースクール・ハードコア・パンク、メロディック・パンク、ポスト・ロック……等、個々のスタイルでサウンドを築き上げるバンドたちであり、いずれ劣らぬライヴ猛者である。地に足をつけた活動を主とし、そこで共振しあった仲間たちでまたさらなる基盤を作り上げていく。この日ステージに上がったのは、日々そうした活動を続けているバンドだ。とはいえ、それとてほんの一握りに過ぎないわけだが、この場をきっかけに各バンドのライヴに足を運べば、新たに音に出会うこともできる。またバンド側にとってみれば、ここでの交流やアピールで、(たとえば)海外進出やネットワークを拡大していくことも可能。インディペンデントであるゆえの自由さ、フットワークの軽さも持ち得る反面、活動ペースや自身の作品・音楽を世に放っていく上では限りもある。草の根と言われる活動のパワーと、個々のプライドで磨き上げた音楽、その一端を発信し紹介するのが「 independence ‐ D 」だ。
近年は日本でも大型のフェスやイベントが定着し、その環境やムードを楽しむといった色合いも濃いわけだが、そういったものとは多少趣旨は異なる。オーディエンスもかなり精力的に、各ステージを行き来し、なるべく多くのバンドを観ようといった姿勢がうかがえる。屋外ステージ「 CLOVER STAGE 」も、トップバッターの TEN FOOT POLE ( USA )から熱い盛り上がりだ。晴天に恵まれたとはいえ、海風は刺すような冷たさ。にもかかわらずTシャツ姿(キャミソール姿のつわもの女子も)でステージに張りつきコブシを上げ、シンガロングする。メンバーたちもすぐにジャケットを脱ぎ捨ててエネルギッシュに骨太なパンク・サウンドを叩き上げる。入場ゲートそばだけに、瞬く間に人垣が出来あがる。一方で、屋内は「 DIA STAGE 」が常に満員でドアの外まで人が溢れ返っている。各 20 分と時間はわずかだが、バンド以上にオーディエンスも凌ぎ合いだ。個人的にがっつり観たいバンドがあったが、中には入れず……うまく入れても姿は見えじといった状況でもある。とにかくみな熱心だ。
またいちばん大きなステージとなる「 SPADE STAGE 」続く「 HEART STAGE 」も個性派が揃った。プロデューサーとしても多くのバンドを手がける Pelle 率いるスウェーデンの FIRESIDE が貫禄の激渋なエモーションを伝え、ピアノでしっとりとかつ丁寧に歌い上げる DREAM STATE ( USA )、若手ニューカマーという豪快さとステージングの妙味を兼ね備えたパンチ力のある RIDDLE 。バンドとして大きくステップを踏んだ OCEANLANE や、強固な NICOTINE 節は汗だくのモッシュを生み出す。そしてマキシマムザホルモンでは、ステージ袖の出演バンドたち、とくに海外バンドのギャラリーが圧倒的。日本が誇るといっても過言ではないダイナミックで質の高いサウンドに、引きずり込まれるお馴染みのパフォーマンス、言葉の壁をするっと壊すこの迫力は最高にウケがいい。スペシャルゲストの Alkaline Trio が独特の憂いある世界観をタイトにえぐり出し、トリを飾った。個人的に、度肝を抜かれたのが THESE ARMS ARE SNAKES 。音源でもニューウェーヴと攻めのハードコアのヘンテコなテンションだが、生はさらに予測不可能なおもしろさだ。バンド数も多く、すべてを観ることはできないし体力勝負な面はあるが、発見は必ずある。内容を充実させ、イベントの基盤固めも含めて今後も次に繋げていく環境が作り上げられていければと思う。 |