次のスターの発掘という視点でライブを見ることが楽しめるWHO'S NEXT。ブレイク予想の信憑性は、神のみぞ知るところなのは言うまでもないが、政治的理由でブレイクが予想されるものではなく、あくまで選者の感性でチョイスされたラインナップは、業界関係者を刺激する内容となる。各日とも、本当に今後が期待されるアーティストばかりが並んだ。
10月2日(土)に行われたライターの岡村詩野さんが選んだ8組のアーティストは、本人も「音楽的な共通点は希薄ですが、普通のロックやポップスではない、他人とは違う何かをしたいという気持ちがにじみ出ている連中ばかりです」とコメントしているように、一筋縄ではいかないようなオリジナリティとインパクトのあるアーティストが顔を揃えた。
そのネーミングの独特のセンスも手伝って、この日のライブを見る前からその存在が気になっていたモダーン今夜。ジャズ、ボサノヴァなんかを感じさせるサウンドは、ホーン・セクションを含む11人編成という大所帯によるもの。「モダン」という言葉をグループ名に冠したことからも連想されるように、一時の昭和歌謡ブームを彷彿とさせる。エゴ・ラッピンのサウンド・アプローチに通じるところがあったが、女性ボーカルのスタイルがエゴの中納良恵とは全く違ったところが新鮮。無理を承知でたとえるなら、オレンジぺコーのTomokoがエゴのライブメンバーをバックに歌ったという感じだろうか。無理矢理なたとえなので、誤解を招きそうだが、似ているからといって決して二番煎じ的なモノではない。「他人とは違ったことがしたい」というメッセージは充分感じられるオリジナリティあふれるパフォーマンスだった。なお、この日は、キャラも立っていて観客の視線を一気にクギ付けにした京都出身の片山ブレイカーズも好演。個人的には5日を通してのベストアクト。デビュー前のスクービードゥーのライブを思い出させるキャラの押し売りがたまらなく心地よい。たぶん対バンキラーなどと呼ばれているのだろう。音は60〜70年代風ロック。